2023年11月19日 三羽善次
ヨハネによる福音書 8章31-38節
「真理はあなたたちを自由にする」(32節)、この主イエスの言葉は、教会外でもよく知られていますが、その意味を問われるとよくわからないのではないでしょうか。
「真理」という言葉は、日常生活ではあまり使われません。最近フェイクニュース、ニセ動画等、事実ではない、真実ではない情報がまことしやかに流れ、人を惑わしています。しかし「真理」は、一時的なことではなく、だれに対してもどこのどの時代にも通用する道理です。
例えば「地球は太陽の周りを回っている」という物理学上の真理は、今では誰もが知る変わらぬ真理です。しかし江戸時代の人々は自分の人生に大して関わることだとは思っていなかったでしょう。そういう直接自分の生き方に関わらない真理を「干からびた真理」と名付けた人がいました。
主イエスが言われる「真理」はその反対の「生きた真理、人を生かす真理」です。主イエスは「真理」を語っておられますが、実は主イエスご自身が真理そのものなのです。「真理」は人間の知恵を集めた図書館の書物等の中にあるのでなく、人格として独りの御子キリストが身をもって現わされたのです。それはキリストの言葉、キリストの生涯、究極的には十字架の救いの出来事です。
私たちはさまざまに家庭や学校、職場、近隣地域の日常生活において、「縛られている」感を持ちます。しかしよく考えてみると、自分が自分自身に執着してがんじがらめになっている、罪の姿が私たちです。主イエスは、その私たちを罪から解放し自由を与えてくださるのです。キリストの赦しと義に倣う生き方をするために、主は私たちを招かれたのです。