2019年9月29日 塩山宗満
ルツ記 4章1-22節 (旧約 426ページ)
ルツ記ではヘブライ語の「ヘセド」、慈しみ、真実、まごころなどと訳されている言葉はこの物語の中心点の一つです。ルツ記には「神はこう言われた」という神の言葉自体は出てきません。でも、神のみ心があって、初めてこのような真心などが形になっていくことを記しています。人が孤独や絶望に陥っているとき、また本当におなかをすかせているときにその人たちに対してじっと見つめつづけて、支えつづけることによって慰めや癒しが与えられる、そのような教会を作り上げていくことができるのだとルツ記が教えてくれます。
何もかも失ったように見えたナオミとルツに、新しい展開があって、最終的にはルツはボアズという有力者と結婚することになり、子供まで与えられたというお話なのですが、聖書の記述はここだけでは終わっていないのです。この生まれてきたこどもはオベドといって、イスラエルで最も尊敬されているダビデ王のおじいさんにあたります。
新約聖書にルツの名前が一箇所だけ出てきます。新約聖書を開くと最初に出てくるのはマタイ1章のイエス様の系図です。イスラエルの系図には女性は出こないのが普通なのですが、この系図に4人の女性の名前が記されており、「ボアズはルツによってオベドを、オベドはエッサイを、エッサイはダビデ王をもうけた(マタイ1:5)」と記されています。貧しい、外国人のルツが救い主イエスの先祖の一人として数えられているのです。
私たちもこのルツ記が語っている神からの助けが必ずあると言うことと、ヘセド、慈しみ、真心を私たちの群れの中に育てていくということを心に留めて歩んで参りましょう。